1.概 要
高い遮音性能が要求される、工場や鉄道、高速道路の防音壁について、穴あきPC板外壁板が、吸音材と併用で採用されるケースが増えています。
しかし、吸音材の施工は、穴あきPC板工事が完了してから行うことになる為、元請業者にとって仮設工事や工期の面で、管理上大きな負担となっていると聞きます。
このため、これらの不都合を解消すべく、穴あきPC板にセラミックス吸音材(商品名:カバナス)を打ち込み一体成型として、穴あきPC板 吸・遮音パネルが開発されました。
このパネルは、既に大阪市舞洲清掃工場の外壁に、大々的に採用され、好評を得ていますが、このたび(財)ベターリビング筑波建築試験センターにおいて、一体成型品の音響性能確認試験を行いましたので、結果をご報告します。
2.試験機関および試験方法
1)試験機関 財団法人 ベターリビング筑波建築試験センター
2)試験方法 JIS A 1409 に定める「残響室法吸音率の測定方法」による
JIS A 1416 に定める「実験室における建築部材の空気音遮断性能の
測定方法」による
3.試験体
本試験に供した試験体の仕様は、以下の通りです。
試験結果は以下の通り(参考までに穴あきPC板と、カバナス単体のデーターを併記)
5.考 察
グラフより以下の点が読み取れる。
1)カバナス打ち込みパネルの透過損失は、バナスの重量が加わった影響もあると思われるが、同厚の穴あきPC板単体壁を大きく上回り、1ランク上のパネルをも超える性能がある。
2)カバナス打ち込みパネルの吸音率は、カバナス単体の吸音率曲線とほぼ同じ性状を示すが、性能値は、500ヘルツより低音域に於いては、厚35mm厚65mmの中間、500ヘルツを超えると、これらの数値を下回る。
厚65mmとの数値差は、目地や周辺のへりあきを有することによる、吸音面積の差と思われる。
参考
■カバナス打ち込みパネルの付着強度試験
1.試験日
試験日 : 平成12年4月28日
2.試験体
平成12年3月16日打設の、付着試験用カバナス打ち込み穴あきPC板パネル
3.カバナス打ち込み穴あきPC板の制作仕様
試験体制作図は下記による
4.試験要領
1)カバナス(250mm×120mm×65mm)に、エポキシ樹脂にて貼り付けた鉄板を、センターホールジャッキにて引っ張り、破断時の引張荷重を測定する。
2)試験体は、4体とする。
5.試験結果
試験体 | 符号 | 引張荷重 kgf |
引張面積 cu |
付着強度 kgf/cu |
平均 kgf/cu |
破壊状況 |
No.11 | A | 840 | (25×12) 300 |
2.8 | 2.92 | 母材破断 |
B | 1040 | 3.47 | 同上 | |||
C | 900 | 3 | 同上 | |||
D | 740 | 2.4 | 同上 |
カバナス打ち込みパネル関連写真
![]() 曝露中の外観 |
|
![]() <付着性能試験> |
![]() <剥離試験> |
![]() 破断面 |
![]() パネル破壊時の追従性 |
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